忌み言葉
七十二候の【葭始生(あしはじめてしょうず)】
葭(葦、蘆)
あし、が悪しに通じるから
よし、と呼ばれるようになった植物です。
あし、からよしへ。
日本語にはこのような忌み言葉、と呼ばれるものがいくつもあります。
身近なものでは
・スルメをあたりめ
・梨をありの実
・おからを卯の花
・すり鉢をあたり鉢
・剃るをあたる
などが思い付きます。
(↑ こちらは梨の花)
他にも
・豆腐を豆富
・終わることをお開き
という表現もありますね。
そして
日本だけでなく、中国や韓国でもあった「諱(いみな)」の習慣。
忌み名という別名もあるように、むやみやたらと口にしない名前でもありました。
(国や時代により、決まりごとにも変遷があるようです)
諱(いみな)とは
中国や日本などで,生前の実名をいう。死後,実名を忌んで口にしない風習より生じた。秦代に始まるとするのが郭沫若の説。のち転じて生存中の名も忌むようになる。名を諱と称する例は漢代からあり,日本でも貴人を敬うときに認められる。諱は,皇帝にかかわる国諱(こくき)についてとくに厳格だが,六朝時代には家諱(かき)の風が流行し,嫌名(けんめい)(似た名の避諱)にまで及んだ。避諱のために,一般には代字を用い,ときに欠字,欠画などを行う。
世界大百科事典(JapanKnowledge)
1 生前の実名。生前には口にすることをはばかった。
2 人の死後にその人を尊んで贈る称号。諡(おくりな)。
3 《1の意を誤って》実名の敬称。貴人の名から1字もらうときなどにいう。
デジタル大辞林(JapanKnowledge)
古の人々は、名前にどれだけの力が宿ると考えていたのでしょう。
明治以降の日本では、氏名(姓名)を名乗ることも、呼ばれることも、表記することも(個人情報保護の観点を除けば)問題ないと思います。
言霊(ことだま)の国、と言われる日本。
「名前」・・・字も響きも、ともに大切にしたいですね。