補色のテープ
すっかり葉桜となったソメイヨシノたち。
母校の中学校は周囲を桜に囲まれ、蕾(つぼみ)の頃から花吹雪のころまで、遠目にも華やいだ雰囲気の場となります。
その桜たちの横を歩いていると、少なくない木々に赤や緑のテープが巻かれているのが目に入ります。
50代半ばの私が通っていた頃には、既に花を咲かせていた木々。
寿命は60年~80年(諸説あります)と言われ、樹齢50年を過ぎると内部が腐朽(ふきゅう)しやすいという話も。
特に桜の名所でもなく、学校の敷地沿いに植えられたものなので、さほど手入れはされてこなかったのではないでしょうか。
赤のテープを巻かれた木は、切り倒されるもの。
緑のテープを巻かれた木は、枝を切られるもの。
そのままにしておくと、倒木のおそれもあるでしょう。
通学の生徒だけでなく、通行の人や車にも影響するかもしれません。
そう頭ではわかっても、テープを巻かれた木々の明日を思うと胸が痛みます。
今年も、美しい花を咲かせてくれた母校のソメイヨシノたち。
「どうもありがとう」
「綺麗な花を見せてもらいました」
眩しいくらいの春の日に照らされた“やはらかな”葉桜たちに触れ、歩みを進めていきました。
視界がかすむのは、黄砂のせいだけではなさそうです。